“父性がめざめる”運動靴と赤い金魚 感想

映画

子どもたちの可愛らしさに
キュン死する映画の感想です。
・・・キュン死ってもう古いかな?

運動靴と赤い金魚

運動靴と赤い金魚 [ ミル=ファロク・ハシェミアン ]

データ

公開:1997年(日本では1999年)
製作国:イラン
受賞歴:第21回モントリオール世界映画祭 グランプリほか

あらすじ

9歳の少年アリは、妹ザーラの靴を修理してもらった帰り、
その靴をなくしてしまう。
貧しい家庭のため、新しく買ってもらうわけにいかず、
まして親にも言い出せなかった。
 
そこで、ひらめいたアイデアは、
自分の靴を妹と交代で履くこと。
 
まずは妹が靴を履いて登校し、
下校途中に交代してアリが登校。
 
しかし、ひと組の靴を共有するのは、
不便すぎて、トラブルを頻発してしまう。
 
そんなある日、
「運動靴」を手に入れるチャンスが訪れた!
 
それは小学生のマラソン大会。
3位の賞品が運動靴なのだ。
 
アリは、さっそく大会にエントリー。
妹のために入賞めざし走るのだが…。

なんといっても
主人公アリを演じたミルさん。

このキャスティングがデカい。

運動靴と赤い金魚の魅力は
この子の表情にあります。

DVDのおまけによると、
監督がオーディションで
表情が良い子を選んだ結果、
ミルさんになったそうで。

もともと役者ではなかったのですが、
確かに、良い顔するんですよね。

泣き虫設定なので、
ちょいちょい、
「泣き落とし」シーンがあります。
 

例えば、アリが学校に遅刻したとき、
罰として指導教員に家に帰されそうになる場面。

なんとも言えない哀愁漂う顔で見つめられるので、
「いいよ、今回は許すよ」
と、思わず口をついて出てくる。
 
日常でもいるじゃないですか。
叱る立場のこちらが、
妙に罪悪感を感じてしまう人。
それです。
 
もうね。ミルさんの表情に親心みたいなものが
芽生えてきますよ。マジで。

 
 
   
それでは物語の中身はというと、

「こち亀」でたまに出てくる
子ども時代の両さんの人情話。

あれに近いですね。
すごく懐かしい気持ちにさせてくれます。

両手を合わせて、石鹸でシャボン玉をつくる。
そんな遊びやってたなぁとか。
 
子どもが困ってたら自然と助けに集まる
近所のオジサン、オバサンたち。
 
これには、ほっこり。

舞台背景にはイランの経済格差も
強く描かれているのですが、
深刻になりすぎず楽しめると思います。
 
 
また終盤のマラソン大会において、
アリがマラソンに強い設定も、
説得力があって良かったです。
 
というのも、
妹と「運動靴」を交代しなければならない。
これがなかなか大変で。
 
イランの小学校では、男女別で学ぶそうで、
映画でも、妹は午前。兄は午後と
始業時間にズレがあります。
日本と違う文化ですね。
 
そのため妹が学校から帰宅してから
兄が靴を履き替える。ことになります。
 
実は、これにはリスクがあり、
妹が帰宅してから交換すると、
兄であるアリは、急いで走って
遅刻ギリギリで登校するはめに。

そういうわけで知らず知らずのうちに
足腰が鍛えられ、
マラソン大会では上位争いするレベルへと成長。

「弱虫ペダル」ではないですよ。
 
ただ、大会では必死に走りすぎて
うっかり1位になった時は、
速度を調整して3位になろうとする。。。
 
そんな熾烈な(?)3位調整、そして
大会の意外な結末はめっちゃ笑えるので
楽しいですよ。
 
 
物語の起承転結に運動靴が
上手く絡んでいる構成と、
ラストの続きは観客に委ねられている部分。

私は結構好きですね。
 
 

 
最後に、邦題の「赤い金魚」ですが、
ほぼ、物語と関係ないです。

映画の原題も直訳すると
「天国のこどもたち」でして。

翻訳者は金魚に何を見たのか?

という観点から考えるのも
面白いかもしれません。

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