“物理学者のエッセイ”『ご冗談でしょう、ファインマンさん』感想

書籍

趣味は金庫破り。
とある、物理学者の話。

ご冗談でしょう、ファインマンさん

ご冗談でしょう,ファインマンさん 上 (岩波現代文庫)
著者:リチャード P. ファインマン
翻訳:大貫 昌子

ーベル物理学賞受賞者、R.P.ファインマンのエッセイ集。
  
当たり前のものに「ナゼ」を突き付け、
難癖つけまくる、好奇心の塊・・・いや「鬼」みたいな男ファインマン。
 
いったん興味を持てば納得のいくまで追求する。
彼の目を通せば、日常は面白いことだらけ。
 
 
上巻は、若い頃の話で、
学生時代から、駆け出しの学者。世界大戦の終わりごろまで。
 
下巻では、ひとり立ちしたファインマンが
芸術に手をだしてみたり、教育に熱くなったり、
そんな話が収録されている。
 
 
ァインマンの有名な言葉で、
「権威は尊敬に値しない」というのがある。
とにかく、虚構や権力を嫌っていて、
いけ好かない上の人間には、いたずらを仕掛けていた。
それがよくわかる。
 
従軍時代に、上官の金庫破りを企てるのは、
ファインマンくらいだろう。
いや、何やってんの、この人。。。
 
また、ブラジルの研究所に滞在したこともあるファインマンは、
当時のブラジルでの物理学教育が、教科書丸暗記するだけに
なっていることに疑問をていし、お偉方にたてついたこともある。
 
そして、学校教科書の選定を依頼されたこともあり、
そのときには、あまりにもずさんな教科書の内容に憤っていた。
 
だいぶ昔の本だけど、
『結果を得る方法だけを教えるのが教育なのか?』と、
なんだか耳の痛い話もあり、侮れない。
 
権力の「支配」する関係に、ファインマンの好きな「探求の時間」を
邪魔されるのがイヤだったのかも。
 
ノーベル物理学賞をとったあとは、
その権威ある“肩書き”を煩わしく思ってたらしく、
講演依頼も、自身の名前をふせて、こっそりやったことがあるらしい。
 
 
ァインマンの生きざまを、
ひと言でまとめるなら、自分に正直であれ。
これは、「ナゼ、ナ二」と思ったらほっとかないで!という話。
好奇心は、教養になる、と。
 
ファインマンは、年を経てからも、
ドラム奏者としてバレエのコンクールに参加したり、
絵を習って個展を開いたり・・・。
 
本当に純粋でまっすぐ、いろんなものに興味をもち、夢中になる。
たぶん、この精神が、人生を楽しむコツなのかも。
 
 
上下巻合わせて、物理学者らしいところは、
実はそんなにないので、文系の人にもおすすめ。
 
 
いや、「好奇心」こそが物理学者らしいのかも。

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