“苛烈なジャズ愛” 『セッション』感想

映画

苛烈なまでのジャズ愛とロックな映画の話。

セッション

セッション【Blu-ray】 [ マイルズ・テラー ]

データ

公開:2015年(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:デイミアン・チャゼル

あらすじ

名門音楽大学に入学したニーマンは
フレッチャーのバンドにスカウトされる。
ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、
天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの
常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。
浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。
ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、
フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。
しかし…。

出典:映画『セッション』公式サイトより引用

心躍る演奏の裏側には、
狂気が隠れているといった内容。
 
 
フレッチャーは、もうパワハラの権化。
バリバリ、アウトな行動をとる。
ドラム演奏中に演者へイスをぶん投げるとか。
主人公ニーマンのことを、
「オカマくちびる野郎」と罵るしね。
 
もう、パワハラが行き過ぎて、
逆に笑えてくる。
指揮している姿は、まるで軍隊。
 
 
だけど、ビックリするくらい、
演奏はきれいなんだよね。
裏側知ってると、素直に喜べないんだけど。
 
 
ある意味で音楽、正確にいうと
ジャズに命をかけている存在。
 
 
そんな、フレッチャーにあてられたのか、
ニーマンも、だんだん
フレッチャーに認められることが目的に
変わっていく。
 
 
友達づきあいもしないし、
彼女も理不尽な理屈でふる。
ブラック企業に洗脳されていく社員のようだ。
 
途中、交通事故にあいながらも、
血まみれでステージに立つところとか狂気の沙汰。
 
さらに、そんな血まみれのニーマンを見て、
フレッチャーが言い放つ「失格」発言も
なかなかに狂気。
ニーマン心配してというより、
マジで「いらない」トーンっで言うからね。。。
 
 
そのほか、完ぺきに演奏できるまで、
深夜まで続く練習などなど。
簡単に、「音楽は素晴らしい」とはいえない、プロの世界。
プロの「闇」の部分が大学生活に縮尺されて詰まっているような・・・。
そんな感じの映画です。 
プロは、いろんなものを捨てているのかもなぁ。
 
 
フレッチャーを徹底して、
苛烈な男として描くことで、
同情はできないんだけど、
「こいつを見返したい」という感情が、
見てて思えてくる。
 
それゆえに、終盤の「セッション」は、
ニーマンとフレッチャーが殴りあってるようにも見えた。
ケンカしてスッキリしたような顔して終わるのよ。
このセッションで9分ほど続くドラムソロは、
ただただ圧巻。
 
 
 
全体的に、編集のカット切り替えのテンポが
音楽とリズムがあってて気持ちいいのも、
この映画の特徴。
 
ウィップラッシュの演奏シーンとか、
しっくり来るんだよね。
演奏のきれいさと比較して、
余計、フレッチャーとニーマンの狂気が
際立ちます。
 
 
一度見たら、忘れられない映画です。

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