読書感想 “世界でいちばん透きとおった物語”

書籍

村井先生は変態!
思いついても、まずやらないだろ。
そんな、仕掛けが施されたミステリ小説の話。

世界でいちばん透きとおった物語

世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2)
著者:杉井 光

あらすじ

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。
宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、
そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。
「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という
小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」
宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。
編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが――。

出典:裏表紙より

こんな、第四の壁を突破する方法は初めて。
話が進むごとに、本の世界と現実がリンクしていく。
もはや、創作を飛び越えた、ドキュメンタリー的な面白さがある。
 
最後まで読んで、前のページを振り返っていくと、
そこに待っているのは、アハ体験。
最初に仕掛けに気づいた時、思ったのは、変態だな!
 
 
とほうもない時間かけて緻密に作ったんだなと分かる。
ただ、この仕掛けに感動できるのは、
おそらく、電子書籍では、難しいだろう。
そもそも、仕掛けに気づかないかもしれない。
 
特に「     」の意味とか。
 
 
あらためて、1ページ目を見返しているのだけれど、
なんか、感慨深いものがあります。
 
冒険を始める前の心構えを諭されてるようなやり取りに見えるし、
冒険が終わったあとのやり取りにも見えるんだよね。
 
 
いくつ、仕掛けに気づけるのか。
こういう本に出合えるから、紙の本も捨てがたい。

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