ついに来たか!建築に“萌える”時代が!!
今回は、こんな本の話。
アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本。 |
建築物は、厳しい環境から人間を守るシェルターであると同時に、
出典:P152より
歴史や文化を継承するための装置でもあるのだ。
創作物の建築物に関して、
多くは建築に素人の人たちが描いているはず。
例えば、『魔法少女まどか☆マギカ』のまどか邸。
『HUNTER×HUNTER』の天空闘技場
その偶然から生まれた産物を専門家が見て、
現代建築に置き換えて解説する、という面白い試み。
驚いたのは、
偶然から生まれた建造物と、
似たような建築が実際に存在しているという。
創作って、別分野でもアイデアは収斂していくのかもしれない。
そう考えたら面白いし、知識って深いところで繋がっていくのかな。
まず、現代建築は、
かのコルビジュエが見出した、建築の五原則にのっとって
作られているらしい。
その5つというのが、
・自由な平面
・自由な立面
・独立骨組みによる水平連続窓
・ピロティ
・屋上庭園
屋内にいながらの解放感を求めた。
壁に仕切られた家のなかに、拡がりを求めるって、
なかなか、矛盾している考えだと思うけど、
それを実現しようと、様々な試みが行われてきた。
そのため、現代の家を創作物に落とし込むと、
だいたい、この5原則に当てはまる家になっている。
5原則を満たすために、編み出された技術が、
ドミノシステム。
建築には、石やレンガをレゴブロックのように積んでいく、
組積造(そせきぞう)と呼ばれる造りがある。
それに、革新性をもたせたのが、この造りで、
鉄筋コンクリートを用いて床や柱、階段など、
建物の枠組みをあらかじめ、堅牢につくってしまう。
そうすると、壁を取っ払えるようになった。
壁がいらない、ってそれだけで、
広々とした空間になる。
デザインの自由度も増す。
『HUNTER×HUNTER』の天空闘技場にも、五原則があてはまる。
こういう天に届くほど高い建築物をスカイスクレイパーというらしい。
この手の建築物の外壁は、カーテンウォールという仕組みで作られており、
建物自体の重さや積載される荷重はすべて柱や梁で支えつつ、外壁は吊っているだけ。
壁を建物から独立させることで、自由度を上げるという、
この発想は素人には思いつけない。
ちなみに、現実の基準でいくとスカイスクレイパーは
150km/hを超える強風にも耐えることが必要で、
この問題を解決するため、多くは、低層部は大きく構え、
上部に行くにつれ螺旋状の形を作りながら細くなっていく。
風による影響をデザインに落とし込んでいるという。
そう思って天空闘技場を見てみると…。
まさに、そうなっている。
こういう、自由度への挑戦が、
たくさん、この本に載ってます。
〇メタボリズム
形を変えたり、位置を入れ替えたりできる建築物
〇シェル構造
貝殻のような構造にすることで、柱や梁をなくすことができ、
曲線を用いた自由な外観を形作る
〇ボイド
空間の「抜け」
いわゆる吹き抜けであったり、床を透明にする
などなど、興味深く、
意外とあっという間に読み終わる。
こういうのを、知っているだけで、
世界の見方ががらりと変わる。
作品の見方も変わる。
今度から映画を見ても、建物の意味を加味して見そうで、
なかなか、おそろしい本に出合ったな。
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