読書感想“世界の音 楽器の歴史と文化”

書籍
世界の音 楽器の歴史と文化 (講談社学術文庫)
著者・郡司すみ 著・森重行敏

1番多い楽器は打楽器。
とりあえず、叩けばなんでも音は出る!

 
ひとくちに楽器といっても、形態はさまざま。
 
水滴の落ちる音を使う「ガタ」
鉢を竹の棒2本で打つ「ジャルタラン」
木製のスプーン2本を打ち鳴らす「カシーク」
鍬の先だけを吊るして木槌で打つ「鍬がね」
 
一見すると、道具のような楽器たち。
それもそのはず。
楽器とはもともと道具だったのだ。
 
例えば・・・
合図や威嚇に使う音出す道具。 これは笛などが該当する。
信仰として音の出る道具。 これは木魚が日本ではお馴染み。
 
中にはブルローラーという、
振り回すと風の音に似た唸るような音がする。道具もある。
音色というよりも本当に「音」を出す道具。
もちろん、その音に意味はあるのだけれど。
 
 
人類が次第に、感情表現を
体以外のものに移して行うようになると。
音の学習も進み、独自の音のイメージをもち
再現しようと試みられる。
 
それが「音色」の探求のはじまりで、
楽器のはじまりなのかもしれない。
 
 
ちなみに、現在では
楽器はこう分類される。
弦楽器、吹奏楽器、打楽器
 
そして音を出す方法は、この4つ。
打つ、擦る、吹く、弾く。
 
すごくシンプル!
 
 
音の出し方一つとっても、
楽器の奥深い世界がある。
 
ヨーロッパ音楽では歌う声は、
ある一定の質に統一される。基本条件は美しい声であること。
これに対し他の音楽では、ほとんどが地声のままで歌われる。
力み声、裏声もあえてそのまま。
 
上記を楽器で比較するとこう。
 
「リコーダー」は、音を出すには息を吹き込めば良く。
簡単に音が出る。

「尺八」は、発音原理はリコーダーと同じだが
会得には「首振り三年」といわれる。
ただ、奏法を会得すれば表現の幅が広い。
 
 
最近は、コンピューターで特定の楽器音も出せる。
楽器は、間接的であれば、あるほど、
演者による腕前の差がなくなる。
例えば太鼓を手で打つか、バチで打つか。
当然バチで打った方が安定した音を出せる。
しかし、細かい音の変化をつくりにくい。
手で打つと、指先は腹でも音が変わる。
直接的であれば表現の可能性が多いのである。
 
 
 
そのほか、社会階級、風土、材料で、
多種多様な形をする楽器。
その奥深さが学べる1冊でした。
 
 
読んでて思ったのだけど、
楽器ほど、言葉で説明するのが難しいものはないのかもしれない。
見たことない楽器の形状を想像するのが、思いのほか難しかったので!
楽器画像を調べながら読むと分かりやすい。

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