１つの事件を追う２組の探偵。
提示されるのは、まったく同じ手がかり。
しかし、たどり着く答えは全く違う！！
ぎんなみ商店街の事件簿
 |
| ぎんなみ商店街の事件簿 ～Ｂｒｏｔｈｅｒ編～ |
あらすじ
銀波坂にある袴田商店に車が突っ込む事故が発生。運転手は食べていた焼き鳥の串が喉に刺さり即死した。
出典：ぎんなみ商店街の事件簿 小学館より
事故の唯一の目撃者は木暮四兄弟の末っ子、良太。だが事故以降、良太の様子がおかしい。
福太と学太は事故の真相を調べるべく動き出す。
事故で死亡した小野は三姉妹の長女・佐々美の働く会社の正社員だった。
事故にまつわるあらぬ噂にがぜん興味を示す友人たちを止めるべく、次女の都久音は自ら事実解明に乗り出すことに……。 ほか２編。
事実はひとつ。 解釈は無限。
起こったことを、どうとらえるかは、
個人の事情、感性、理解力によって、無数に存在する。
これは、哲学的な考えだけれど、
探偵ものに持ち込んで展開するのは、かなり刺激的。
ミステリーでは話を分かりやすくするため、
大体は、❝真実は１つ❞としているからで。
「いやいや、そうでもないぞ。」と、この小説は言っている。
事件の手がかりは、まったく一緒。
ネタバレは控えるけれど、
とくに、２話の事件現場に残されたメッセージは比較しやすくて、
推理は、ほぼ一緒なのに、「こうも解釈が分かれるのか！」と唸る。
けっこう、兄弟姉妹の役割も、似てる。
ひらめきを出す、中堅に
細かな論理を組み立てる、弟、妹。
そして、事件に巻き込まれてる兄、姉。
そこまで、似てるにも関わらず、
内山三姉妹の目線で追いかけたＳｉｓｔｅｒ編、
木暮四兄弟に寄り添ったＢｒｏｔｈｅｒ編で
違う結論にたどり着くのだから、面白い。
とまあ、２冊の違いを楽しめるミステリー小説！
・・・だけでなく、実は、２冊読んだ人だけが、
作中の誰もがたどり着けない、第３の答えにたどり着く。
ゾクゾクする仕掛けが面白かったです。
コメント