舟を編む (光文社文庫) |
あらすじ
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、
出典:『舟を編む 光文社文庫』より
辞書編集部に引き抜かれた。
新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。
定年間近のベテラン編集者。
日本語研究に人生を捧げる老学者。
辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。
そして馬締がついに出会った運命の女性。
不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!
あんまり、意識したことない辞書編纂という、
言葉に人生をかけた人々のお話。
「のぼる」と「あがる」の使い分けに一喜一憂できる、
主人公、馬締(まじめ)をはじめとした面々の、
大人の青春を見てるような小説でした。
スポーツのような派手さはないんだけれども。
言葉の意味を深いところまで考えていくのは、
なんか、世界の不思議を解明してるようで楽しい。
読んでて、「確かに」と思ったのは、
「右」の説明を「右」を使わずにするのって、かなり難題だよな。
だからこそ辞書の個性が出やすい部分。
それで、ふと気になるのは
「間(あいだ)」って間を使わずに説明できるのか?
そういう視点で辞書を読んでみると面白いかも。
人類最大の発明は、文字といわれています。
文字によって言葉が紡がれ、
言葉によって、時と場所を越えて知識を繋いでいくことができた。
繋いでいけたからこそ、文明は発達していった。
だから、言葉は世間を航海するための舟なんだと思う。
ちなみに、ふねには、舟と船の2種類漢字があり、
船はエンジンのある大型のもの。
舟は手で漕ぐ小型のものを指すらしい。
そう考えると、「助け舟を出す」という言葉は、
なんとなく、舟の漢字のほうが手を貸して、
支えてくれそうな気もする。
そう考えると、
今も辞書は誰かの助け舟になっているんだろうなぁ。
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