読書感想 “イデアの再臨”

イデアの再臨

イデアの再臨 (新潮文庫nex こ 77-2)
著者:五条紀夫

朝起きたら、壁に四角い穴が空いていた。
あるべきものがない?
これって――世界から が消えている!
誰も異変に気がつかない。
混乱する僕に突然、金髪の同級生が告げる。
「ここは小説の中の世界、俺たちは登場人物だ」
次々と消されていく言葉、混沌を極める世界で、
僕たちは犯人の正体を突き止められるのか。

出典:裏表紙より

“小説を読む”という行為を
極限まで遊びつくした怪作。

世界から言葉が消えたらどうなるか?

窓という語を使わず、窓を表そうとしたのは、
私の知る限りこの作品だけかも。
公式のあらすじにあるように、抜けた言葉は空白で表される。

そのため、とにかくガワの言葉。
修飾語がやたら増えていくんだけど、肝心のそのものは出てこない。

この修飾語から抜けた言葉はなんなのか、
推理していくミステリーにもなっている。
絶対知っている言葉のはずなので、考えるのは楽しい。

チャレンジングなメタフィクションは、
これにとどまらず、
物語を2ページ戻す能力使いやら。
書き加える能力。
さらには、2ページ戻さないと
読めないページが出てきたり・・・。

小説を読んでいるときに
無意識にやっていることをネタにするだけじゃなく、
一歩踏み込んで、幅を持たせた見せ方をしている。

究極は、この本を手に取った瞬間から
ある仕掛けにハマっていること。
『イデアの再臨』最初は面食らったのだけど、
徹底したメタの最後の最後に「やられた!」って思いました。

変な笑いがでます。

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