読書感想 ‟動物たちは何をしゃべっているのか?”

書籍
動物たちは何をしゃべっているのか? (WPB eBooks)
著者:山極 寿一 鈴木 俊貴

  
ゴリラは手話を覚えるし、
シジュウカラの鳴き声には文法がある。

言葉って人だけのものじゃない!
スペシャリストが2人も揃って語ると、説得力は違いますね。
 
その二人とは、
シジュウカラになりたくてシジュウカラの言葉を研究している・鈴木俊貴氏と、
ゴリラになりたくて群れの中で過ごした霊長類学者の山極寿一氏。
 
「知りたい」を越えて「なりたい」までいくと、力強い!!
 
 
動物の言葉のやり取りで、ずっと不思議に思ってたことがある。
「ライオンキング」など、創作の世界では、
動物間で言葉を交わすシーンがある。
種族は違うのに、どうしてお互いの言葉が通じるのだろう?
まあ、野暮な疑問だと思うけれど、
それがずっと不思議だった。
 
この本に「混群」・・・別種で群れをつくる動物が存在すると書いていて、
別種でも会話ができるんだということを知った。
例としてあげられていたのは、
シジュカラとコガラで、鳴き声の違う2種の鳥は、
お互いの鳴き声を理解できるそう。
2か国語を使いこなすバイリンガルみたいで面白い事実。
 
さらに、シジュウカラは、天敵の種類によって鳴き声は変わる!
ヘビとタカで違う警戒音を出すとか。
それは、単語が存在するってことなんだろうか。
ちなみに、本書では「ジュウカラが文法を理解しているのか?」
という実験の話も載ってます。
特定の鳴き声を順番を組み替えて流すとどういう反応をするのか?
興味深い話でした。
 
そして、ゴリラ。
手話を覚えさせる実験で2000を超える単語を覚えることができ、
さらにさらに、手話で人間と会話もできた!
実験では、自身の捕まった時の過去話を研究者に手話で伝えたという。
 
 
動物も言葉を使いこなすとは!!
 
なぜ、言葉が必要かというと、
集団で暮らす、生きていくには‷共感″が大事になってくるため。
自分以外の誰かと情報、思いを共有する必要があり、
そこで、周囲に伝えるために音を利用した。
 
音を利用したダンスも生まれた。
かつて、人はダンスによってコミュニケーションをしていたとか。
そうえいば、ハワイのフラ誕生の経緯も
歴史を語り継ぐ意味があったなと、ふと思い出しました。
 
さらに、音をいくつものバリエーションに細分化して「言葉」も誕生。
 
 
動物なら、誰もが持ってる「言葉」
しかし、人にしかないモノもある、それが「文字」

人は文字によって発展し、
文字によってコミュニケーションの形態が良くも悪くも変わってきた、
というのは、納得。
 
文字によって、過去の技術を積み重ねられたからこそ、
文明は発達したし、
ただし、文字によって他人を傷つけてしまう。
文字は、時代、場所を飛び越えて届けられるが、
感情のすべてを共有できない。
伝えられるのは情報のみ。。。
 
 
ディープで興味深い話ばかり、
対談形式で、そこまで難しい語り口にはなっていないので
読みやすいです。

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