読書感想 “流浪地球”

書籍

流浪地球 (角川文庫)
著者:劉 慈欣  翻訳:大森 望, 古市 雅子

あらすじ

人類は太陽系で生き続けることはできない。
唯一の道はべつの星系への移住。
連合政府は地球エンジンを構築、人類を太陽系外に脱出させる地球航行計画を決定。
荒廃した地上に住めなくなった人々は宇宙へと旅立つが。
(「流浪地球」)
恒星探査から帰還した宇宙飛行士=先駆者が目にしたのは、
死に絶えた地球と文明の消滅だった(「ミクロ紀元」)!?
第54回星雲賞海外短編部門受賞の表題作ほか、5篇を収録。

出典:裏表紙より

全6編の短編集。

ざっくりどんな話かというと。

『流浪地球』

太陽が爆発することが判明し、
太陽系を脱出せざるを得なくなった人類。
しかし、現行の宇宙船では、
小さすぎて、自給自足のシステムは作れない。
何光年という旅路が想定される中、
それでは、心もとない。。。

そこで、人類が出した結論は、
地球にロケットエンジンをつけて、
地球そのものを宇宙船とすること!

『ミクロ紀元』

地球に代わる星を探して、
惑星探査に旅立った宇宙飛行士たち。
しかし、めぼしい結果を得られず、
帰還した地球で目にしたのは、荒廃した地上の姿。

かつての文明の名残を探して、
宇宙飛行士が見つけたのは、
新しい形の人類の営みだった。

『呑食者』

星々を巡っては資源を食らいつくす
「呑食者」と呼ばれる侵略者たち。

彼らが次にターゲットにしたのは、地球。

生き残りをかけた、人類の戦いを描くスペクタクル。

『呪い5・0』

歴史上もっとも成功したコンピュータ・ウイルス「呪い」

元は浮気相手を罵るために作られた脆弱なウイルスが、
幾多の偶然を経て、アップデートを重ねていき、
市民の生活を脅かす存在へと変貌する。

『中国太陽』

高層ビルの窓ガラス清掃員と、
ナノミラーフィルムという新しいソーラーパネルの
仕組みを作った男。

偶然知り合った二人の男は、
それぞれの腕をかわれて、
人口太陽プロジェクトに従事することになっていく。

『山』

突如、地球に飛来した宇宙船。
宇宙船の力で海面は隆起し、9100メートルという、
巨大な山を形作る。

かつて、登山家だった男は、
水の山へ挑むことを決意する。

 

 

6つの短編の中でお気に入りは「呪い5.0」
くだらない悪口プログラムが、
人類滅亡パニックにつながる荒唐無稽さは最高。
唯一のコメディでもある。
作者本人も重要なキャラクターとして物語に出てくる、
珍しい作品。
 
 
 
とにかく、宇宙規模、
何千万年、いや何光年って単位が当然のように出てくる、
ビッグスケールで描かれる物語たち。(「呪い5・0」は違うけど。)
しかし、全ての物語に共通するには、等身大の人間がいること。
理屈じゃない、本能が描かれているというか。
『山』という作品だって、なぜ、登るのかと言われたら。
登山家の好奇心だったりするし。
 
 
結末はどれも、ただただ本能に従ったゆえの結果になってる。
想像もできない宇宙規模の設定と、すごく身近で手触りのある矮小な人間。
そのギャップが、たまらない。

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