黄金旅程 (集英社文芸単行本) |
あらすじ
北海道の浦河で養老牧場を営む装蹄師の平野敬は、
出展:『黄金旅程』文庫版 裏表紙より
向かいの栗木牧場で生まれた競走馬エゴンウレアに魅了されるが、
気性が荒くレースでなかなか本気を見せない。
ある日、騎手として将来を嘱望されながらも道を踏み外した幼馴染の亮介が、
出所して牧場に戻ってくる。
敬は亮介にエゴンウレアの調教を勧めるが、その周囲に金貸しとやくざが
見え隠れして――。
実在したサラブレッド「ステイゴールド」と、
それに魅せられた人たちをモデルにしたフィクション。
そもそも、タイトルからして、
「ステイゴールド」愛にあふれている。
その理由は、黄金旅程と検索エンジンにうってみると分かる。
答えがズラリと出てくるはず。
劇中人物たちは、厩務員とかよりも、さらにディープな・・・。
私にとってはディープな職業、装蹄師、養老牧場、乗り役の世界。
レースに重きをおいた話ではないため、
抜きつ、抜かれつの競り合いであるとか、
相手を出し抜く戦略であるとか。
そういう少年マンガ的な熱さはない。
成熟した大人たちが主人公であることから、
ちょっと達観しているんだよね。例えばこちら。
競馬が馬の繁養費をまかなっている
出典:『黄金旅程』文庫版 P459引用
野生の馬に人が手を加えることで生まれてきたのがサラブレッドだ。
彼らは人なしでは生きられない。
そして、人は競馬がなければ彼らを養えない。
なので、馬で変わったというよりも、
馬に振り回された人々に見えなくもない。
しかし、大人の静かに燃え盛る熱さが詰まった物語。
純粋に競馬に夢を見て、自分の仕事をまっとうする男たち。
ラストは、2時間ドラマの最後みたいで、なんかほっこりする。
ちなみに、ステイゴールドのレース動画を見ておくと……泣く。
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