読書感想“RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる”

書籍
RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる
著者・デイビッド・エブスタイン 翻訳・東方雅美

あなたに立ちふさがる問題の解決策は専門外の所に!
寄り道やムダに転がってる。

そんな話。
 
 
大事なキーワードは、
「遅れを取ったと思わないこと。」
 
どういうことかと、かみ砕いていくと。。。
現代では、あらゆる分野で専門性が高まりすぎている。
誰よりも、抜きんでたかったら、ヘッドスタート。
つまり、早く始めることにある。と。
 
有名なスポーツ選手や、東大合格者やらの話で、
とかくメディアが取り上げるのは、
「子ども時代から始めていた。」ことばかり。
いつの間にか、早く自分の好きなものを見つけて、
早くその仕事に取り掛からなければ、平凡認定されてしまう。
そういう心理状態になっていないだろうか。
というわけで、本当に専門性を高めることは大事なのか。
考察に考察を重ねた1冊なわけです。
 
 
まず、デメリットの一つに、
ブレークスルーをしにくくなる。と書かれてます。
 
専門性がすぎていくと、どんどん視野が狭くなる。
専門性が細分化していき、
例えるならマトリョーシカ人形のようになっていく。
小さな人形の外に出られたと思っても、
次の少しだけ大きい人形の段階で行き詰る。
 
医療の世界では、
臓器ごとに担当医が分かれているとも聞く。
食道ガンの担当は、胃ガンには対応できないこともある。
このような専門性の高まりを細分化という。
 
ハーバード大学イノベーション・サイエンス研究所によると、
解決した問題が自分の専門分野から遠いほど、
解決できる可能性が高い傾向にあると。
専門性に特化すると、
イノベーションを生み出せると思いがちだけど、
専門化が進みすぎると、実は部外者にチャンスが生まれる。
いわゆる職人の域にいくと、
1つの分野の専門知識と、
過去に効果があった方法に頼ることしか
思いつかなくなってしまうからだ。
 
 
ここで、面白い格言を1つ。
「枯れた技術の水平思考」
むかし、任天堂の故・横井軍平が推奨した考え方。
 
横井の有名な話に、ゲーム&ウォッチの開発秘話があるけれど、
あれの液晶は、当時電卓に使われていたものの流用だった。
さらに、この技術は横井の最高傑作「ゲームボーイ」に受け継がれていく。
 
ゲームボーイの画面は、相変わらずモノクロ。
当時、カラー画面にする技術はあったにも関わらずに!
事実、カラーで遊べる携帯ゲーム機は、他社から発売された。
 
しかし、売り上げは圧倒的にゲームボーイに軍配が上がる。
 
その理由は使いやすさにあった。
性能面で劣る部分をユーザーの使いやすさでカバー。
ゲームボーイは単三電池で何日もプレイできたし、
よほどひどい落とし方をしなければ、
スクリーンにひびが入らないほど丈夫だった。
ゲーム性能の追求だけをしなかった。
言い換えれば、専門性を高め過ぎなかった。
 
何が言いたいかというと、
イノベーションに効果的なのは、多様性である。
 
何度もイノベーションを起こす人の特徴を調べていくと、
次のようなことが見えてきたそう。
「隣接する分野についての技術的な知識」
「今入手できるものの使い道を変えて使う」
「バラバラの情報を新たなやり方で結びつける」
「さまざまな情報源からの情報をまとめる」
「他の技術についてより多く読み、専門外のことに幅広く感心を持つ」
・・・・などなど
 
これらのことから見えてくるのは、
イノベーションは意図的に幅と非効率を持たせたほうがいい!
 
それを裏付けるわけじゃないけど、
コンサルティング会社、プライスウォーターハウスクーパースの子会社が、
過去10年の技術イノベーションについて調査したところ、
研究開発費と業績との間には、統計的に有意な関係が何も見られなかったそう。
(もちろん例外はある。)
 
テニス界のレジェンド、フェデラーもサッカー少年だったそうだし、
画期的な瞬間を作るのは、
幅広い、知識、経験が結びついたとき。
 
早くに専門性に特化した人よりも、
花開くのは遅くなることもある。けれど、
「遅れを取ったと思わないこと。」が重要なのである。
 
 
仕事してて、よく肌身に感じてるのは、
ゼロからイチは作れない。
新しいモノは、既存の組み合わせである。と。
だから、けっこう身に染みる本でした。
 
ただ、専門家になることは悪いことではなく、
知識を深めていくのは、とても大事なことなので、
そこは、間違いなきよう。
 
縦の知識だけじゃなくて、
横の知識にも目を向けてみようぜって話です。

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