東京2020 夏季オリンピックが開催された年は、
いったいいつでしょう?
10年後、そんなクイズができそうな、
ひと波乱あった、とあるオリンピックの話。
東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B
データ
公開:2022年
製作国:日本
監督:河瀬直美
あらすじ
コロナ禍、延期、様々な問題、そして迎えた1年遅れの開催。
出典:映画『東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B』公式サイトより引用
「東京2020オリンピック」の2つの事実。
コロナで見えづらくなった“繋がり”を可視化し、
“オリンピックの在り方”と“日本の現在地”を突き付ける。
今後、オリンピックが進むべき道は?本当のニューノーマルとは?
2つの側面から、あなたにとっての東京2020オリンピックの
「真実」が見えてくる。
オリンピックという現象を
追いかけたドキュメンタリー。
公式サイトのあらすじにもあったけれど、
「あなたにとっての東京2020オリンピック」
それを、振り返る映画になっている。
どういうこっちゃ。
って話ですけど。
普通のドキュメンタリーと違って、
主軸となる物語を希薄にしていると思った。
例えば、オリンピック村のシェフならば、
・どんな準備をして・
・どんな問題が起こって
・オリンピックに参加することに
家族はどう思っているかを描いて
・本番に臨んで
・食べた人の「おいしい」があって
という風に。
大体、人を描いていくのが普通だけれど、
そんなことはしていない。
ひとりひとりのバックグラウンドは、
なるべく深く掘り下げずに、
どんな思いでオリンピックに参加しているか。
そういう話を、何人も集めて構成している。
インタビューの見せ方も独特。
クローズアップを多用しているんです。
顔の全体をちゃんと映さないのだけれど、
インタビューに答えている人たちの気持ちが分かるのは
半分だけ。
それが暗喩されているのかもと思った。
やっぱり、
「知っている」と「分かる」は違うものだし。
「ただ情報を喋っている人」で
終わらせたくなかったのかも。
こういった見せ方の特徴は、
登場人物への感情移入がしにくいということ。
それぞれの思いの断片を繋ぎ合わせて
描かれるのはオリンピックのガワのみ。
外側だけできて、肝心の中身は?と
思うかもしれないけれど、
そこに入るのは、観た人それぞれの主観だ。
あの日、あの時、
どう過ごしていたか?で感じ方が
まったく変わる、面白い作りをしてるな。と。
熱狂していたのか?
反対していたのか?
そもそも興味がなかったのか?
それぞれで、印象が違うと思う。
日本のドキュメンタリーにしては、
珍しく、ナレーションがいっさい入らないことも、
この見せ方を補強しているというか。
ナレーションは
制作者の「こう思ってください!」という
プロパガンダに近いものがあるから、
それがない。ということは、
自分で自由に感じていい。というわけで。
そういえば、会場近くで聞き耳立ててなとか、
あの頃のありのままを振り返れる。
というわけで
「東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B」の
感想でした。
もう1年経ったんだなぁ。と
懐かしくもある。
たぶん、10年後には見ないかもしれない。
見れるのは今だけだと思う。
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