いやいや、そんなとこにあって、お客来るの?って映画の話。
サハラのカフェのマリカ
データ
公開:2022年
製作国:アルジェリア・フランス・カタール
監督:ハッセン・フェルハーニ
北アフリカのサハラ砂漠。
その一角で、たった一人、
カフェを切り盛りするマリカ。
そんな彼女のカフェに、
カメラを持ち込んでみると、
さまざまな事情を抱えた人が訪れる。
という、大まかな内容は
そんな感じ。
原題は「143 rue du desert」
=砂漠通り143番地だそうだ。
だから、街の一角にカメラを仕掛けてみたら・・・
的なドキュメンタリーとでもいうのだろうか。
びっくりしたのは、
思いのほか、車の交通量が多いこと多いこと。
サハラ砂漠はラクダ。なんて、
とんだ偏見を持ってたわ。
そして、みんな長袖なんだね。
砂対策かな?
サハラの日常が感じられて、
発見のあるドキュメンタリーでした。
マリカのカフェは、
無骨な内装ながらも、
テイクアウト用の窓口もちゃんとある。
ほんと、コンクリに四角い穴をあけただけの、
シンプルな作り。
確かに機能としては、これで充分なんだよね。
そして、店内でお茶するときは、
誰であろうと例外なく、
お客の前の席にマリカが陣取り、
おしゃべりを始める。
ここに、歴戦の猛者然とした
オーラを感じる。
誰彼構わず、話をして、
お客が帰ったら、
客への小言をぶちまける。
これがお決まりのパターン。
あんたさっきまで、
軽快に話してたじゃん!と
突っ込まずにはいられない。
そんなとこも、彼女の魅力の一つ。
撮影の仕方で印象に残るのは、
窓やドア越しに、
ヒトの行き来を映すこと。
誰かが来た、誰かが去った。を
しっかり入れてくるんだけど、
それをカフェの中から映す。
外から映した映像はないのだ。
いわゆるカフェはマリカの財産、
分身とも言うべき存在だから、
「去る者追わず、来るもの拒まず」な
マリカの精神の現れだろうか?
ただ唯一の例外がある。
それはラストカット。
これだけは、外から「誰かが来た」を映している。
その意味を考えると面白いかも。
いっぽうで、
マリカが何を考え、
どうやって生計をたてているのか、
まったくの謎。
劇中ではいっさい描かない。
原題から察するに、
「砂漠通り143番地にカメラを仕掛けて見たら
こんなものが撮れました!」
そのスタンスを崩さないのである。
だから、マリカが今、何歳なのかさえも
知ることはできない。
途中の子どもが殺された話も、
ウソなのか、真実なのか。。。
うまく、煙に巻かれた感じだ。
まあ、
そんなこと考えるのは都会人だけかもしれないなぁ。
そこにカフェがある、それで充分じゃん。
コメント