“映画感想” 『夏へのトンネル、さよならの出口』

映画

浦島太郎、現代版!
ヤングアダルトなアニメ映画の話。

夏へのトンネル、さよならの出口

出典:映画『夏へのトンネル、さよならの出口』公式サイトより引用

データ

公開:2022年
製作国:日本
監督:田口智久

あらすじ

ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、
欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……

掴みどころがない性格のように見えて
過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、
芯の通った態度の裏で
自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。
ふたりは不思議なトンネルを調査し
欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。

これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、
忘れられないひと夏の物語。

出典:映画『夏へのトンネル、さよならの出口』公式サイトより引用

 
原作は同名のライトノベル。
こちらは、未読。
でも、見てて、ライトノベルっぽい、
甘酸っぱい感じが満載でした。
 
 
欲しいモノが見つかるけれど。
外と時間の進み方が大きく違うトンネル。
確か、120秒いると現実で3日だったかな。
 
こういう時間の流れが違うことを
ウラシマ効果という。
 
いわずもがな浦島太郎になぞらえている。
猿の惑星もそうだし、
ドラゴンボールの精神と時の部屋も
そうですし。
 
ウラシマ効果を扱った作品は数あれど、
願いと引き換えってのは、
ありそうで無かったかもなぁ。
 
 
物語の前半は、
ヒロイン花城あんずの抱える心の重荷の話。
後半は、主人公、塔野カオルの心の傷の話。
となってる。
 
これは途中で明確に話の主軸がスイッチします。
 
変わったな。って分かるのは駅のシーンですかね。
同じ構図のカットが前半と途中に2回出てくるんです。
 
わざわざ、同じ構図だということは、
二人の関係性が確実に変わったことが分かる
良いシーンだったと思います。
 
例えば、塔野が花城に傘を渡すところ。
どちらの手が上かで、
隠し事をしてるほうが誰か分かるというか。
 
 
ただ、ちょっと気になったのは
“念押し”が多いこと。
 
例えば、さっきの駅の対比なんて、
1回見れば分かるんだけど、
繰り返しフラッシュバックされると、
ちょっと冷める。個人的に。
 
あと、妹の「お兄ちゃん大好き」かな。
こんなのセリフに出すと野暮ったいし、
好かれてるかどうかなんて、
セリフにしなくても、じゅうぶん分かるけどね。
 
ただ、これは映画早送り世代を意識しているんだろうな。
 
 
わりと、主人公とヒロインの二人だけで
物語が展開していくので、
彼らの悩みのタネであろう、
周囲の状況が実はあんまり分からない。
 
親父のシーンとか本当に少ない。
代わりに、印象を残すためか、
父親のセリフがちょっと変に感じた。
 
だから、塔野たちが、
トンネル行く理由がちょっと希薄に
感じてしまう。
 
 
とはいえ、
さっぱりした作品なので、
鑑賞後はさわやかな気持ちなれます。

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