“圧倒的映像美” 『BARAKA』感想

映画

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映画の話。

BARAKA

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データ

公開:1995年(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:ロン・フリック

ざっくり内容
24か国の日常を切り取ったドキュメンタリー映画。
自然や街、人々、そして「祈り」の風景で映像を構成し、
生命の繋がりを描いている。
 
 
30年前の作品にも関わらず、圧巻の映像美。
いくら、なんでもキレイすぎない?と思ってたら、
映画.comにこんな記述があった。

撮影には50年代に最初に実用化された大型ネガ映画システムで
現代でも画質は最高といわれるトッドAO70ミリ方式(「オクラホマ!」
「サウンド・オブ・ミュージック」など)を
アイマックスや博覧会映像も手掛けるフリックが改良したモデルが使用され、
このシステムの誇る鮮明な画像とスローモーションや
微速度撮影が自在に駆使され、
音声も従来の6チャンネルからデジタル化されている。

出典:映画.comより引用

映像“美”を撮るためのこだわり。
ただ、画質だけじゃないんだよね。
構図、被写体もろもろ“美しい”
 
監督がカメラマンということもあり、
画へのこだわりが尋常じゃない。
 
 
個人的に好きなのは、
冒頭の日本猿かな。

湯けむりが見えるところから、
「どこの温泉だろう?」と思わせておいて、
上からカメラが下りてくると、
映るのは日本猿。

また、ちょうど良いとこに猿がいるんだよね。
ポートレートかと思った。
 
 
画のこだわりは、映画の構成からも窺い知れる、
この映画、ナレーションも言葉も全くない。
監督のロン・フリックさんは、
『コヤニスカッツィ』の撮影をされてた方で、
『BARAKA』もそれに、強く影響を受けてます。
 
時折はさまる、人物のカメラ目線とか、
『コヤニスカッツィ』っぽい。
映像だけで魅せるんだ。って意思を
ひしひしと感じます。
 
 
例えば、映画冒頭で、どういう映画かを
サクッと説明する手際のよさ。
日本猿が目を閉じると、
各国の“祈り”のシーンを次々と見せていく場面。
 
猿の目を閉じるしぐさを“祈り”に見立ててるわけですよね。
「これ、こういう映画なので!」
端的に言われた感じです。
 
こういう“見立て”を利用した撮り方が面白い映画です。
 
ほかにも、瀬戸内寂聴さんの目線の先。
ふすまを少しだけあけて“見つめる先”を
想像させる撮り方とか。
 
工場労働者とベルトコンベアで運ばれる卵。
エスカレーターで駅を上る人々と
ベルトコンベアで運ばれるひよこたち。
と、家畜と人間を交互に見せる作りとか。
異なるものを同列に扱う手法が面白い。
 
立場に関わらず、全員同じ方向へ歩かされる・・・。
資本主義という、
今の時代を象徴しているかのよう。
 
それでいて、
世界中の誰かと僕らは、
良くも悪くも繋がってる。そんなことを実感する。
 
まあ、開発途上国の紙巻タバコを作る労働者と
日本の路上喫煙をカットバックするのは、
いやらしい見せ方するなと思いました。
 
 
ひとつ、謎が。
木の周りをカメラが動きながら、
周りの星空も高速で変わっていく。。。
あの撮影手法が、どうやってるのかさっぱりだ。

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