自然を愛した野生児が
自分の居場所を求める映画の話。
正直、予告編からは想像もつかなかった。
ザリガニの鳴くところ
データ
公開:2022年(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:オリヴィア・ニューマン
あらすじ
1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、
出典:映画『ザリガニの鳴くところ』オフィシャルサイトより引用
裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。
容疑をかけられたのは、‟ザリガニが鳴く”と言われる湿地帯で
たったひとり育った、無垢な少女カイア。
彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、
花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、
ひとりで生き抜いてきた。
そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。
彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める…。
物語は、殺人事件をきっかけに、
「なぜ、事件が起こったのか?」を
過去編と現在編で交互に物語が進行していく
ミステリー。
序盤、父のDVに悩むカイアへ投げかけられる言葉。
「辛いことがあったら
ザリガニが鳴く場所へ逃げなさい」
言わずもがな、ザリガニは発音しないので、
そんな場所はないのである。
安全な場所がザリガニの鳴くところだとしたら・・・、
つまり、自分らしく、自然に過ごせる場所を求めて、
幻を追い続ける少女の物語なのかも。
そんなことを思った映画でした。
父のDVが原因で、
カイア含めて6人家族だった住人も、
母が去り、姉や兄も去り、
とうとう父と二人きりになったカイア。
それでも、家を離れない理由には、
いつか、家族が帰ってくると幻想を抱いていたから。
というのもあると思うけど。
アイデンティティが無くなると思ってたのかもしれない。
実は、貧乏すぎて
学校にも通ったことがなく、
読み書きがまったくできない。
カイア自身に残されたものは何かというと、
土地だったのかもなぁ。
一度だけ、カイアが学校へ行くのですが、
湿地帯から出たとたんに、
“ふけつ”だの、“臭い”だの、差別を受けるんです。
敵は父だけでなく、町民の中にもいる。
周りは敵だらけ。
そんな中、彼女が身に着けた人付き合いのコツが
逃げること。
まず、DVをする父と、
上手く付き合うコツが顔を合わせないこと。だったわけで。
逃げる行為が殺人事件という悲劇を生むわけですが。。。
この映画、湿地の撮り方が美しい。
海のように、砂浜の白と海の青とコントラストが
はっきりしてるわけでもないので、
キレイに見えるように撮るの難しいと思うのだが。
湿地の奥に潜む“何か”を感じられた。
でも、さすがに鳥は合成だよね?
そういえば、カイア役のデイジー・エドガー=ジョーンズさんですが、
ほかの役に比べて、ナチュラルメイクに近い印象。
ほかの役がバッチリメイクなのに、
その差異からか、
周りとは違う人。っぽさが強調されてた気がする。
ただ、中盤のオシャレしたシーンが、
余計に色っぽくみえた。
髪をアップにするの、良いよね。
まあ、そんなわけで
『ザリガニの鳴くところ』でした。
後半、カイアの行動が変わる瞬間から、
物語の見え方も変わるので面白かったです。
原作の和訳本↓
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