“映画感想”『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』

映画

ほんの、50年ほど前に
実際に日本で起こった事件を描く、
ドキュメンタリーの話。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実

データ

公開:2020年(日本公開)
製作国:日本
監督:豊島圭介

内容

1969年5月13日。東京大学駒場キャンパスで行われた
作家・三島由紀夫と東大全共闘との討論会をひも解くドキュメンタリー。

当時、旧体制に不満を持つ学生が団結し、激化していた学生運動。
1969年の1月には、安田講堂を「東大全共闘」が占拠する事態も起こった。
そんな東大全共闘と、三島由紀夫が2時間半にわたり議論を戦わせた。
伝説ともいわれる討論会。
 
1000人を超える学生たちに、単身で臨む三島の様子を、
13人の証言者のインタビューと、リストアした映像で再構成した。

1vs1000の哲・学・論・争。

上手く言えないんだが、
日本人って何?を追求し続けた闘いに思えた。

二元論を武器に、本気で学生の説得にかかる三島。
一方的に関係を結ばれる社会へ異を唱える学生。
支配関係が卑猥、猥褻とか言うわけだけど。
  
てか、よくキャッチボールが出来てるな、と。
思っちゃう応酬で。
ただただ圧倒されるばかり。
抽象的概念で喋ってるんだよね。
 
 
例えば、「デスク」について、
こんな論争がある。
 
デスクは、教室にあるから、
デスクとして認識される。
しかし、教室というものがなくなれば、
デスクとしての役割がはたせない。
ただの木材だ。
 
デスクと教室の関係性によって、
役割が決まってしまう。
 
それは人間も同じことだと。
関係性で、役割が決められていると。
 
こういう会話が続くわけで。
本当に真剣に聞いてないと、
今、何でその話をしているのか。
推し量るのが難しい。
 
これは、
お互い「この話の意味が分かるか?」と
投げ合っているからかもしれない。
剛速球のキャッチボール。
実はドッジボールかも。
 
何しろ、議論の最初はエロティシズムの話から
始まるもんだから。
これはこれで、相手との関係性の話で
興味深かった。

 
そして、三島由紀夫といえば、
その最後は、大々的なニュースとなった。
自衛隊市ヶ谷駐屯地で、
天皇万歳と叫んだあと自決したこと。

三島の根底にある「天皇」とはいったい何か、
その片鱗が分かる。

 
いろいろ見方はあると思うけど
彼にとっての天皇とは、
日本文化の比喩みたいなもの。
だったのかもしれない。
 
 
文学者同士の論争。
怒声のなじり合いかと思いきや、
わけわかんなすぎて、笑いがでてくるくらい
ハイレベルな議論だった。
 
解説なかったら、置いてけぼりになるところだった。
そんなわけで、まだまだ私は青いなと思ってしまう映画でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました