戦争犯罪を背景に、人のめんどくささが
描かれてると思った映画の話。
愛を読むひと
データ
公開:2009年(日本公開)
製作国:アメリカ、ドイツ
監督:スティーブン・ダルドリー
あらすじ
1958年、ドイツ。
出典:映画『愛を読むひと』公式ページより引用
15歳の少年マイケルは、年上の女性ハンナと激しい恋におちる。
ある日、ハンナは本の朗読を頼み子供のように
その物語に聞き入った。
以来、“朗読”は2人の間で繰り返され愛はより深まるが、
突然彼女は姿を消してしまう…。
8年後、法学生となったマイケルが傍聴した裁判で見たのは
戦時中の罪に問われるハンナだった。
彼女はある“秘密”を守るために不当な証言を受け入れてしまう。
唯一、その秘密を知るマイケルは彼女を救えるはずだった。
しかし―。
間違いなく、見た人、十人十色な感想が生まれる作品で
二元論で語れないタイプ。
男は、ダラダラと初恋をひきずっちゃうの。
そして、初恋相手と再会してのあまりの変貌ぶりに
勝手に失望しちゃうの。
ホント、どうしようもないぜ。
私もだけど。
マイケルは、自分よりも
二回り近く年上の女性にひとめぼれし、
若さにまかせて猛烈アタック。
そこから、会うたびにヤリまりの
一種のただれた関係になっていく。
はじめて覚えた性の味にやみつきになっちゃうのが、
若いってそんな感じだよね~。
そんな、関係の中で、
ひとつの変化が生まれる。
それが、朗読だ。
気まぐれにマイケルが読み聞かせた本が、
ハンナの心に響いて、
以来、二人の間に「読み聞かせ」の時間が生まれる。
この瞬間まで、ハンナにとって手の焼ける子ども。
という扱いだったマイケルが、
対等な立場になるわけ。
たったひとつの絆。
なぜ、朗読の時間をハンナが大切にしたのか。
それは、劇中で明言されることはないけれど、
おもんばかることはできる。
それには、ハンナの“秘密”があった。
この秘密が、のちのち尾をひいて。
あとの展開で戦争犯罪人として、処罰されるんだけど、
ハンナにとってめちゃくちゃ不利にはたらく。
ここで、ハンナとマイケルに。
決定的な溝が生まれた気がした。
戦争を知っているものと、知らないもの。
ちょこっとだけいうと、
アウシュビッツ関連とだけ述べておきましょう。
裁判官の判決もなかなか考えさせられるもので、
戦時中の贖罪に躍起になっているようにも見えた。
「世の中は道徳でなく、法で動いてる」と
ここで語られるわけだけども。
道徳とは、誰の目線で見るかで変わる。
だから、普遍的な法、ルールが必要。
しかし、法を決めるのは道徳である。
なんか矛盾めいたものを感じました。
映画後半、マイケルは親になり、
もっといえば、離婚も経験した大人になっている。
で、一抹の寂しさからか、
獄中のハンナに「朗読」を録音したテープを送るように。
マイケル超悪いわ~。
こういう昔の女に、連絡しちゃうズルさが
男にはあるんだよ。
ちょっと自分より、境遇が下のものを見て
安心したくなる感じ。
それで、ハンナと再会するんだけど、
ここマイケルの顔が絶妙。
超めんどくさそうな態度とってるから。
ハンナの変貌ぶりへの落胆と、
自分からコンタクトしたくせに、
途中でめんどくさくなって、
降りようとしてる感じ。
そんな複雑なものがギュッとされた
再会シーンだと思った。
ラストのシーンは、
マイケルの贖罪にも見えたし、
なんか美談にしようとしてるズルい感もあってよき。
ほんと、リアルな人間模様を感じ取れる。
古今東西、人間ってそんなもの。と言われたような。
ズルさを許された感じにもなる。
そんな良い映画でした。
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