映画感想“アダマン号に乗って”

見た人の感じたまま。
解釈は受け手次第の、
自然体なドキュメンタリー映画の話。

アダマン号に乗って

『アダマン号に乗って』本予告/ナレーション 内田 也哉子

データ

公開:2023年(日本公開)
製作国:フランス、日本
監督:ニコラ・フィリベール

概要

木造建築の船「アダマン号」があるのはパリの中心地・セーヌ川。
ここは精神疾患のある人々を無料で迎え入れるユニークなデイケアセンター。
絵画や音楽、詩など創造的な活動を通じて、
社会と再びつながりを持てるようサポートしている。
個性を重んじる共感的なメンタルケアを貫く
アダマンでの日々をカメラは映し出す。

この作品、どうにもふら~っと来て撮った感がある。
実際、そんなことをニコラ監督がコメントしてるし。
その良い感じの作らなさ、自然体が
日本のドキュメンタリーにないものかなぁ。
目的をもってインタビューを撮ってる感がほとんどない。
教訓めいたこと言わなくてもいい。
あるがまま。
 
日本のドキュメンタリーって、
シーンごとに強引に意味づけして、
導入部はこうで、
中盤のいいとこで問題が起きて
終盤で問題が解決して…
結論はズバリこれ!って見せ方をするけど、それとは真逆の作風。
 
 
問題らしい問題も起こらない。
見た後、何かしら問題意識を感じるべき。
そんな圧迫感もないから、リラックスして観られる。
リラックスしすぎて眠くもなるけど。
案外眠っちゃっても良いかもしれない。
それが『アダマン号に乗って』
 
とかく問題提起はわきに置いといて
どう受け取るかは観客次第という、
アートな作りはこの手の作品にしては珍しいなぁと。
 
訪れるひとりひとりにインタビューしてるんだけど、
それぞれを映してる時間を長めにすることで
意図的に余白を作ってる。ここにも、想像の余地がある。
「今、何を考えてるんだろう?」
そんなことを考えてると、湯水のようにみんな喋り出す。
全然、話すことがつきないんだよね。
やはり、自分を主張したい。そんな意思を持ってる。
 
二コラ監督がこの作品を作るきっかけとなったのは、
現在の精神医療の目的が均一化を目指している、
すなわち、みんなと同じにしようとしていることに危惧を持ってたから。
この場合の“みんな”とは言わずもがなだと思うので割愛。
 
個性を重んじる「アダマン号」の治療に興味がわいたから、
監督は撮影を決めたそうだ。
 
 
にしても、アダマン号のデザイン。
絵になるほどオシャレなんだよね。
一見してデイケアセンターだとは分からない。
さすが芸術の国。
  
窓が開いて「アダマン」が目覚めた時、
なんか、美しい。と感じた。
ただ、窓が開いたっつーだけの話なんだけども。
それに限らず、画の構図が全体的に美しい。

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