線路に立てられた柵が、
最後どうなっていたか?!
そこを見逃さずにいたら、
観た後に大事なものを持ち帰ってこれるかも。
そんな映画の話。
怪物
データ
公開:2023年6月(日本公開)
製作国:日本
監督:是枝裕和
あらすじ
大きな湖のある郊外の町。
出典:映画『怪物』公式サイトより引用
息子を愛するシングルマザー、
生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。
それは、よくある子供同士のケンカに見えた。
しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、
大事になっていく。
そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した―。
1つの事象を3つの視点から描く、
全3幕からなる群像劇。
思いのほか、テンポ速くてサクサク物語が進むので、
ヒーロー映画のテンポに慣れた人でも、見やすいはず。
冒頭にも書いたけれど、
柵に注目して頂きたい。
もう、これだけ覚えとけばいい!
最後、気づいたらさ。
「えーっ!ヤダヤダ」って思うから。
切なくて、愛おしい。
全編通して印象的なのは、
同じシチュエーション、アングルでも
意味の変わるショット。
例えば、母が車で学校に来るシーン。
3通りの心情の変化が分かる。
●最初はアイレベルで捉えたショット。
等身大の母によりそう、気持ち。
ただ、まだ一歩引いた目線というか。
事実確認したい。そんな心情
●2回目は、俯瞰。
この前に衝撃の展開があるので、
1回冷静になって考えよう。
そんな見てる側の気持ちも反映された、
客観的なショット。
●3回目は、車内から。
ここまで来ると、だいぶ母に感情移入してるので、
にっくきアイツをコテンパンにするまで帰らない!
そんな気持ちに見てる側もなってる。
以上は、同じシチュエーションでの話。
「同じアングル」で分かりやすいのは「夜景」ですね。
章の区切りで挟まる夜景が、全部違って見える!
同じはずなのに。
それは、観客の気持ちが変わったからなんだけど。。。
これらの細かな演出が、めちゃくちゃ効いてて、
物語全体を俯瞰で見ると、
1つの事象を3つの目線で見るという。
物語の仕掛けにもリンクしてるため、
か~な~り、見やすかった。
そして、変わると言えば、
第3幕からBGMを使う頻度が多くなるので、
殺伐とした雰囲気もガラッと変わる。
すっごい、シリアス空気が続くため、
坂本龍一さんの曲は清涼剤。
BGMのイメージとしては「雨」。
上手く伝えにくいのだが。
最初はポチャンポチャンと、癒しの水音なんだけど、
後半、水が集まって濁流となってくるような。
そんなイメージのわく曲だった。伝われ~。
音楽以外に、第3幕からは画面も明るくなるし。
前半とはうってかわってポップになるのだけど。。。
ホントの闇は光の中に。ってこと意味だとしたら、イジワルよね。
最後に、まったくの私見ですが、
怪物とは、もしや特定個人を指すのではないかもなぁ。
実は群衆・・・?
全編通して、壁にぶち当たるのは孤独を抱えた人々で。
群れというか、組織は薄情なものとして出てくるんだよね。。。
意思を持たないものというか。
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