「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命 近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景
「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命 近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景 [ アンドリュー・シャルトマン ] |
音を伝えるためだけの機能に、
芸術性を持たせた音楽。
どのメディアにも転用可能な
短くて、耳に残るメロディ。
ファミコンで作られた音楽の“沼”に連れ込まれた!
そんな1冊。
専門用語は、正直分からないのだけれど、
実感としてあるのは、
マリオのBGMには、口ずさみたくなるリズムは確かにある。
ここでいう、マリオは、
85年に発売された「スーパーマリオブラザーズ」
ファミリーコンピュータのゲームソフトのこと。
マリオの曲が短めなのは、
ファミコンの能力の限界ゆえ。
何しろ、音は3チャンネルしか使えない。
曲というのは、さまざまな楽器の音が
交じり合い、調和して、深みが生まれてると思う。
そう考えると、音の数が限られているのは、中々なハードル!
容量的にも長い曲を作れない。
そんな条件で、近藤浩治さんの解決策は・・・
ループさせること!
地上BGMのBセクションを譜面にすると、
各小節、90秒の音楽のうち、
繰り返しのないオリジナルパートは25.秒のみだそう。
それでもプレイヤーの気を滅入らせることなく
ループを活用した音楽を作った。
アンドリューいわく、ジャズのような和音が入ってるのだとか。
指摘されてみると、確かにジャズっぽい!
「たらった たらった ドン」には、
ジャズのリズムの気持ちよさが入っていた。
とくに「ドン」の部分は、「ヘイ!」って言いたくなる間がある。
音楽といえば、ダンスも欠かせない。
かつてアメリカの詩人エズラ・パウンドは、
こう言ったそうだ。
「ダンスから離れすぎると音楽は衰退していく。」
解釈すると、おそらく、
体を動かしたくなる、体の動きと会う音楽が大事。
ということなんだろうと。ちなみに本書ではこう書かれている。
ゲーム音楽の場合はスクリーン上のキャラクターの動きだけでなく、
本文より引用
プレイヤーの身体のリズムまで体現するべき
ファミコン以前のゲームはBGMとして、
クラシック音楽を使っていた。
しかし、クラシック音楽は、ゲーム用に作られた曲ではないので
実はゲームの動きと合わない。
動きと音楽に関して、
人はメタファーを使って身体的な体験と
音楽的な体験を結び付けているらしい。
そこで、物理的な上昇運動・・・
キャラクターが上へ上へと上がっていく、に合わせて
音楽もキーが上昇していく。
これをミッキーマウシングというそうだ。
というわけで、マリオを動かしたくなる、
マリオのための曲を生み出したのも
近藤浩治さんのすごいところ。
めっちゃくちゃディープな世界なので、
ゲーム音楽の見方が変わると思います。
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