鼻つまみ者の逆転劇 『ライオン少年』感想

映画

社会の鼻つまみものが、一矢報いる
王道ヤングアダルトストーリー。
獅子舞の爽快感が楽しい映画の話。

ライオン少年

雄獅少年/ライオン少年 [Blu-ray]

データ
公開:2023年5月(日本公開)
製作国:中国
監督:ソン・ハイペン

あらすじ

片田舎で出稼ぎをしている父母の帰りを待つ貧しい少年チュンは、
ある日、華麗な獅子舞バトルで屈強な男を倒した、同じ名前の少女チュンから、
獅子頭を譲り受けた。
チュンは、ちょっぴり情けない仲間のマオやワン公と獅子舞バトル全国大会を目指すことを決意する。
飲んだくれの元獅子舞選手チアンを口説き落として師匠に迎え、その妻アジェンの励ましを受け、
特訓の日々を送る。
しかし、大会目前でチュンの父が病に倒れてしまう。
一家を支えるためにはチュンが出稼ぎに行くしかない。
大都市での労働は夢を追う時間もないほどに過酷だった。
疲れ果てたチュンの前に、あの少女が再び現れた――。

出典:映画『雄獅少年/ライオン少年』より

獅子舞だと思ってなめてたぶん、カッコよさにノックアウト!
時たまみせる、お目目パチパチもキュートすぎる。
 
 
当然といえば、当然なんだけど、
そもそも、獅子舞に流派が存在するとは知らなかった。

劇中によると、大きく南北の流派に分かれ、
南派は、跳ね上がり、回り、飛ぶなど、
表情豊かなことが特徴なんだそう。
その南派の獅子舞のお話。
 
南派、獅子舞競技の1つが、
富みを象徴する青菜を奪い合うこと。
奪い合いの中での、踊り、足技、身のこなしで優劣を競う。
 
青菜とり意外にも競技があって。
飛び石のように配置された、2mは越える支柱を
ぴょんぴょん渡っていく演舞。
この演舞は、アニメならではの設定かと思ったら、実際にあるらしく、
検索すると、動画も出てきます。
本当に猫のように舞うので驚くと思います。
 
こういう競技があること事態知らなかったので、
冒頭の「獅子舞って何?」を教えてくれるシーケンスがあるんですけど、
そこから、もう面白い。
 
 
映画では競技獅子舞に、魅了された、
主人公チュンが、獅子になるべく奮闘していく。
ベスト・キッドとか、酔拳を思い起こす独特な修行シーンとかは、
古き良きカンフー映画で、ちょっと懐かしくなった。
 
競技シーンも、少林サッカーほど、ギャグにいきすぎてなくて、
カンフーも混ざったカッコいいアクションになっていて、
獅子舞の動きは見てて飽きない。
何より、躍動感を生んでいるのは、
獅子舞の中からの景色を描いていることだと。
次の足場へ、どのタイミングで飛ぶか?
視線の動きなどで、チェンの手の内が分かるので、
普段、見ることのない景色の驚きもあいまって楽しい。
 
 
そして、いっぽうで、今どの国でも頭を抱えている、
貧富の二極化問題も、劇中には出てくる。

主人公チュンの両親は、二人ともが出稼ぎに行って、
ようやく、チュンを養えている、かなりひっ迫した状況で、
それによって、チュンも子どもながらに働かざるを得なくなってしまう。
いいことなくて、ことあるごとに神頼みするチュン。
 
途中、少女のチュンと、再会するんですが、
彼女は、めちゃくちゃ小綺麗な恰好してて。
かたや、ボロボロの服を着て。
同じ名前なのに、どうしてこうも境遇が変わるのか。。。
みたいな対比も、よかったですね。
  
それでも、獅子として諦めずに最後まで戦い続けられるかどうか。
 
だからこそ!負け組たちが主人公だからこそ、
最後のシーンが輝いて見える。
 
最後の方に、
仏像の前をライオンが通りすぎるイメージカットが出てくるんですけど、
獅子は神に頼らない。ってことなのかもな。
 

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