映画の感想 ❝コンクリート・ユートピア❞

手軽さが売りのアパートは、
手の届かない理想郷へと変貌する!
壮絶な奪い合いのサスペンス映画の話。

コンクリート・ユートピア

1月5日(金)公開 『コンクリート・ユートピア』|本予告

データ
公開:2024年1月(日本公開)
製作国:韓国
監督:オム・テファ

あらすじ

世界各地で起こった地盤隆起による大災害で一瞬にして壊滅したソウル。

唯一崩落を逃れたファングンアパートには、居住者以外の生存者たちが押し寄せていた。
救助隊が現れる気配は一向になく、街中であらゆる犯罪が横行し、
マンション内でも不法侵入や殺傷、放火が起こりはじめる。
危機感を抱いた住人たちは、生きるために主導者を決め、
住人以外を遮断しマンション内を統制することに。
臨時代表となったのは、902号室のヨンタク。
職業不明で頼りなかったその男は、
危険を顧みず放火された一室の消火にあたった姿勢を買われたのだった。

安全で平和な“ユートピア”になるにつれ、権勢を振るうヨンタクの狂気が浮かび上がる。
そんなヨンタクに防衛隊長として指名されたのは、602号室のミンソンだ。
妻のミョンファはヨンタクに心服するミンソンに不安を覚え、
閉鎖的で異様な環境に安堵しながら暮らす住民たちを傍目でみながら生活をしていた。

生存危機が続くなか、ヨンタクの支配力が強まったとき、予期せぬ争いが生じる。
そこで目にしたのは、その男の本当の姿だった………

出典:映画『コンクリート・ユートピア』オフィシャルサイトより


突如災害に巻き込まれた、
一般市民たちのサスペンススリラー。
 
 
象徴的な“対比”の使い方をしていて、
アパートの意味に始まり、
アパートの中と外。
杖と銃。
囲碁の駒。
それぞれの思惑。
さらには、物語の前半と後半も対になってます。
 
 
繰り返し対比を出して、どちらかを選べと、
常に二者択一を迫られるので、
ハラハラしっぱなしで、
見てるうちに、つい、前のめりになってしまう。
 
どっちの選択のほうが良かったのか、、、
 
人間って、自分の選んだものは「正しい」と
思い込むように、なっていくらしく、
まさに、そんな人間らしさが描かれていく。
 
 
序盤のシーンで、
缶詰取ろうとしたらゴキブリがワサーっとでてきて、
慌てふためくシーン。
ここの「アメリカのゴキブリか?」というセリフが、
「外来種の害虫」という意味に転じて、
「よそ者を排除せよ」という意味にさらに転じていくのは、
うまい見せ方だなと思いました。
 
 
 
主人公たちは、
“普通の人”であるため、事態を俯瞰できるポジションの人物、
つまり、政府や軍、科学者がいなかったのが終盤にきいてくる。
 
突如、訳も分からず、大きな厄災に巻き込まれて、
何も分からないから、対策のしようもなく、
ただ、アパートに籠るしかない。。。
 
なんか、似たようなのを見たことあるな・・・。
そうか、『ミスト』だ!
いや~な選択をさせるところも、ミストっぽい。
 
ただ、ミストと違うところは、
主人公たちは強者のポジションであること。
アパートの住民である、という絶対的強者なのだ。
弱者をいかに排除するかという、選択を迫られるのは、映画では珍しい。
ゆえに、数倍選択肢のたちが悪い。
 
 
 
登場人物と同じように、災害にあたふたしてるうちに、
第三の選択を忘れていることに
最後の最後、気づかされる。
 
いつの間にか、勝手に選択肢は2つしかないと思っていた。
その先入観こそが、一番の敵だったのかも。
 
あのラストは皮肉きいてて好きです。

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