言葉にできない感動を幽玄というらしい。
幽玄としか形容できない映画とは、
たぶんこんな作品のことを言うんだろうな。
PERFECT DAYS
データ
公開:2023年12月(日本公開)
製作国:日本
監督:ヴィム・ヴェンダース
あらすじ
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山は、静かに淡々とした日々を生きていた。
出典:PERFECT DAYS 公式サイトより
同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、
同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。
木々がつくる木漏れ日に目を細めた。
そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。
それが男の過去を小さく揺らした。
心が、心が浄化される~。
そんな、美しいもので詰まった作品かと。
清掃員のおじさんのルーティーンにもかかわらず、
なぜ、こんなにも目が離せないのか、
まったく分からない。
きっと、、ほとんどの誰もに当てはまる普遍的な一日だから、
共感してしまうのだろうか?
「完璧」という言葉で捉えると、ルーティーンが思い通りにいくことを、
完璧な1日なんだろうな、と映画の序盤は考えていた。
その「完璧」が崩れてしまったとき、どうするのか的な作品なのかなぁ。と。
まあ、浅はかでしたね。
そんなんじゃなかったです。
映画を見てると、同じに見えて、実は同じ日など1つとしてない。
そう言ってるように見えました。
いつも通りの日々に、かいま見える「美しい」瞬間。。。
例えば、『PERFECT DAYS』の中で、
平山が迷子の男の子を母親に届ける場面があるんですけど、
「清掃員」の恰好をしている平山を見て、
男の子のお母さんは、我が子の手を消毒するんですよ。
偏見が見え隠れする部分ですが、
そのあと、男の子が、お母さんに見えない角度で、
平山に「バイバイ」と手を振り返します。
こういう、ちょっとした笑顔になれる、
「美しい」瞬間って、1日に1回はあるはず。
普段見落としがちな、「美しい」に気づけると、
完璧な1日になるのかもしれない。
あと、平山の趣味であるカメラも、
そういう瞬間を切り取るための小道具として出てくるので、
どういう使われ方をしているのか、気にしてみると、
なんか、いいなぁ。って思える。
まあ、なんやかんや書きましたけど、
劇中、セリフはほぼ無いので、答えは自分で見つけるしかない。
平山って実は、権力者だったのかな。とか、
いろいろ考察できる要素も散りばめられてるんだけど、
それは、深くは語られない。
やっぱり、大事なのは、素性の知らない誰かも、
きっと、自分と同じような1日を過ごしている人間なんだ。
っていうことかもしれない。
個人的に、好きなのは、
家の鍵をかけるシーンですね。
序盤、家に鍵をかけないで平山は仕事に出かけるんですけど、
途中から、家に鍵をかけるようになるんです。
とある関係性が変わった、ことが分かる、
地味だけど、いいなぁ。と思う。
魅力、、、魔力があって、
あっという間に2時間経っていました。面白いです。
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