容疑者ばかりが増えていき、
真相の糸口は一向につかめない。。。
実際の未解決事件をもとにした映画の話。
12日の殺人
出典:映画『12日の殺人』公式サイトより
データ
公開:2024年3月(日本公開) 製作国:フランス 監督:ドミニク・モル
あらすじ
2016年の10月12日の夜、グルノーブル署で、引退する殺人捜査班の班長の壮行会が開かれていた頃、
山あいのサン=ジャン=ド=モーリエンヌの町で、21歳の女性クララが、友人たちとのパーティの帰り道、
突如何者かにガソリンをかけられ火を放たれた。
そして、無残にも彼女は翌朝焼死体で発見される。すぐに後任の班長ヨアン率いる新たな捜査チームが現場に駆けつける。
クララが所持していたスマートフォンから、彼女の素性はすぐに明らかになった。
クララの親友のナニーの協力などもあり、
クララと交際歴のあったバイト先のウェズリー、
ボルダリングジムで知り合ったジュール。
そしてあろうことか彼女を「燃やしてやる」というラップを自作していた元カレのギャビなどが
捜査線に上がっては消えていった。だが、クララと関係を持っていた男たちは、
一様にして彼女が奔放な女性だったことを示唆していた。
懸命な操作が続いたが、事件を解決まで導く確信的な証拠もないまま捜査班は解散となってしまう。それから3年後。ヨアンは女性判事に呼び出され、
出典:映画『12日の殺人』公式サイトより
新たなチームを作り再捜査に乗り出すことになった。
今度は女性捜査官のナディアも加わり、クララの三周忌に彼女の墓で張り込みをすることになった。
果たして、仕掛けていた隠しカメラに写っていたのは…。
物語が進むにつれて、次から次へと容疑者が上がっていく。
誰もが犯人たりえて、
誰もが決定的な根拠に乏しい。
捜査は難航し、
ぐるぐると同じところを回り続けて、
その輪から抜け出せなくなっていく―。
主人公ヨアンは、自転車が趣味らしく、
イライラすると、競輪場のバンクのようなコースを
何週もグルグル回る。
ここが、なんだかヨアンの心情を比喩したように見える。
事件の深みから、どうすれば抜け出せるのか。
何を見落としたのか。
何度も、同じところを歩いているだけじゃないのか。
画期的な視点の変化が必要で、
しかし、なにも思いつくこともできない。
どれだけ、時が経っても、事件にとらわれたまま。
ずーっと、もやもやしていたからこそ、
最後のロードバイクを駆るヨアンの笑顔がまぶしい。
事件にとらわれ続けるのをやめる。
最後に、そんな選択をするわけだけど、
もとの事件は未解決のままなんだよね。
本当は、まだ、とらわれ続けている人がいるのかもしれない。
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