映画の感想 “地獄の黙示録 ファイナルカット”

映画

「朝のナパームは格別だ」でおなじみ、
ベトナム戦争を舞台にした映画のお話。

地獄の黙示録 ファイナルカット

地獄の黙示録 ファイナル・カット 4K Ultra HD Blu-ray

公開:2020年6月(日本初公開)
製作国:アメリカ
監督:フランシス・フォード・コッポラ

1960年代末、ベトナム戦争後期。
再び戦場に戻ってきたアメリカ陸軍のウィラード大尉は、
軍上層部から特殊任務を命じられる。
それは、カンボジア奥地のジャングルで、軍規を無視して自らの王国を築いている、
元エリート軍人のカーツ大佐を暗殺せよという指令だった。

ウィラードは4人の部下と共に、哨戒艇でヌン川をさかのぼる。
サーフィンをするために敵部隊を村ごと焼き払うキルゴア中佐、
ジャングルに突如出現するプレイメイトのステージ、
ドラッグに溺れ正気を失う乗組員、指揮官不在で戦い続ける最前線の兵士…
カーツの王国に近づくにつれ、ウィラード自身も、精神のバランスを崩していく。
部下たちを次々と失いながらも、ようやく王国に辿り着いたウィラードは、
アメリカ人の報道カメラマンと出会う。
彼からカーツの真の姿を聞かされ戸惑うウィラードだったが、ついに王国の“神”カーツと対面を果たす。

出典:角川シネマコレクションより

『地獄の黙示録』自体、初鑑賞。
オリジナルは1979年の映画だそう。

冒頭のウィラード大尉のセリフが秀逸で。
「戦場では故郷を求め、故郷ではジャングルを求めた。」
たった、これだけで、
ベトナム戦争で彼が見てきたもの、失ったもの。
彼のバックボーンがうかがい知れる。
賞賛と栄誉を求めて戦争に参加したのかな。とか。
故郷に帰ってくれば、ただの人殺し扱いになったのかな。とか。

この1セリフでウィラードを説明し、
スマートに本編にはいっていくのはすごい。
「前置きはほどほどに、さっさと本題を見てくれ」
そんなことを言われた気分。

このセリフに代表されるように、
はやいテンポで次々と事態が展開していくので、
3時間の上映時間があっという間におわる。

この映画で有名なシーンといえば、
ワーグナーの『ワルキューレの騎行』をバックにヘリが空襲を仕掛けるシーンだと思う。
本編みるまでは、BGMとして『ワルキューレの騎行』を使っているのだと思ってたんですが、
そんな生易しいもんじゃなくて。
“敵に恐怖を与えるため、ワーグナーを流しながら襲撃する”という、
突撃ラッパみたいな使い方をしてました。

村に攻撃を仕掛けるんですけど、
村民はワーグナーを聞くと逃げる体になっていて、なんか嫌な気持ちになるシーン。
余談ですけど、ワルキューレには「戦死者を選ぶ者」という意味もあるとか。
選ぶ側のつもりでいたアメリカ軍のことを指しているのか。否か。

さらに、この戦闘の最中、サーフィンを試みるという、
クレイジーなシーンもある。
戦争という精神的に苦しい中、わずかな娯楽を求めた結果、
思考がおかしくなってきたのだろうか。
登場人物は、全員どこか“変”な部分がある。

炎と煙と木々に覆いつくされ、
明日も見えない、戦争の中、
とうとう自我さえも見失う。

終盤に行くにつれてウィラードの“目”が強調されるカットが増えるんですけど、
その目は何を見つめていたのか。
それとも“見てしまった”のか。

考察がはかどる作品だと思いました。

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