今から2年ほど前、
巷で話題になった本がありました。
それがコチラ。
読むのは「今さら感」が強い。
ですが、今さら読んでも面白い。
当時の「M-1」を通して、
塙さんの漫才、芸人論を
インタビュー形式で綴った本です。
印象としては、エッセイに近い。
書き言葉ではなく話し言葉で、
まとめられているからだと思います。
塙さんという、
お茶の間に広く浸透した方だから、
しゃべり方がイメージしやすいのもポイント。
この本は、漫才が面白くなる
技術的な話かと思いきや。
それは違います。
技術はなく感情で表現するのが
漫才だ。
と言う話だと思いました。
本書に出てきますが、
「好きなことを熱く語る人ほど
愛おしい」
何かに熱中している人の話って、
話が面白い、というよりも、
その熱量が面白くて聞いちゃうってこと
ないでしょうか。
溢れんばかりの「お笑い愛」が詰まっている
この1冊は、読んでいて興味深い。
例えば、
誰かのマネではなく、
オリジナルのネタだとセリフを噛まない。
関東で舞台に上がる時は履物を脱ぐので、
関東芸人はダイナミックなネタが
やりにくく(足元が滑るから)大人しい芸風が多い。
誰がやっても面白いのがネタだ。
それ以外はフリートーク。
などなど、表現者だからこそ分かる目線。
へぇ。がありました。
こういった話から汲み取れるのは、
漫才とはテクニックではなく感情なのだと。
印象的な言葉があります。
「人間の「おかしさ」をおかしいと言うだけでは
伝えきれないから漫才という話芸が生まれたんだ。」
こう捉えると、漫才も芸術のひとつ。
といっても過言ではありません。
「言い訳」とは、
大事なのは感情ということを
臭すぎて素直に言えないため、
知っておきたいテクニック論…を
隠れ蓑に語っている。
そんな本。
言い訳って、ここにかかっているのかなぁ。
なーんて深読みしすぎですかね。
ただ、モノづくりにおいて、
何より重要視するべき部分だと思います。
映画製作者も、画家も、科学者も
一流はみーんな同じことを言っているので。
そして、もうひとつ同じことを言っていました。
「伝えたい相手がいる!」
塙さんもお客さんに気を配っていることが、
伝わってきました。
作り手だけでは、
モノづくりは成立しないのです。
目の前にいる第三者。
それが、忘れてはならない
制作者の一員だということを
肝にめいじておこうと思います。
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