【笑いたい時に】「恋空」映画感想

映画

今さらながら、
とっても面白いギャグ映画を見つけましたので、
ご紹介します。

恋空 スタンダード・エディション [ 新垣結衣 ]

データ

公開:2007年
製作:日本

あらすじ

原作は著者の実体験を基に書かれたケータイ小説。
主人公は平凡な女子高生、美嘉。
同性からの嫌がらせ、
10代での妊娠、レイプ、そして恋人との別れ・・・
数多くの悲劇に見舞われながらも、
一途な愛を貫こうとする10代のリアルを切なく描く。

ケータイ小説というのを
ご存じだろうか?

今から10年以上前、
携帯電話で気軽に読める
小説のWebサイトがありました。

しかも、誰でも小説が投稿出来るサイトです。

今でも、ネット小説はたくさんありますが、
そのブームの走りといってもいいかもしれません。

そんな「ケータイ小説」というジャンルから、
女子高生を中心に支持された作品が生まれました。

「恋空」です。

恋空 ~切ナイ恋物語~ スペシャル・バージョン [上]【電子書籍】[ 美嘉 ]

小説「恋空」を映画化したのが本作。

主演は 新垣結衣さんと三浦春馬さん。
当時、10代だった2人の
初々しい感じが堪能できます。

今となっては、2人が揃うこともないと思うと、
かなり貴重です

10代の若手なのに、
演技がそこら辺の新人より上手いのがさすが!
後に世間を席巻するだけありますね。

映画の物語を語る上で、
今回、原作も読みました。

先に言っておくと、
私は映画の方が好きですね。

原作からカットされた部分、
原作になかった部分、
比較するといろいろあるのですが、
総じてよくできていたと思います。

原作との違いを交えながら
語っていきたいと思います。

ネタバレ含むのでよろしく!

原作との違い1:ジャンル

原作は、推理小説です。

というのもト書き部分が極端に少ないからです。

例えば、1文を紹介しましょう。
妊娠が分かって部屋にこもる美嘉のもとへ
母親が来る場面。

このどこか懐かしい夕飯の香りは・・・お母さんだ。

出典:恋空~切ナイ恋物語~ スペシャル・バージョン(上)より引用

この前の場面まで、
自宅のシーンが出てくるので、
懐かしく思うって何?と困惑します。

時系列、すっ飛ばしてるけど、
毎日家に帰ってるわけじゃないのかな?

と、読者が推理を進める方式です。

あと、多用される
「このときは知るはずもなかった」
これは推理小説の書き出しでお馴染み。
これに似たフレーズがたくさん出てきます。

まるで、女版金田一。
ただし、探偵は読者。

まあ、そんな感じです。

それに対して、映画版。

こちらは完全にギャグです。
近いのは「東京03」さんのコント。

東京03さんのコントは、
絶妙のタイミングで
周りの温度感とズレたことを言い。
笑いが起きるパターン。

「恋空」映画版もまさにコレ。

最初に吐きつわりが起きる場面。

家族との食卓でいきなり口を押えます。

文字では伝えにくいですが、
このカットが入るタイミングが
完全にコントのボケのリズム。

バッチリすぎて爆笑です。

いや、ホントにホントに。

タイミングが絶妙すぎて笑える場面が
もう1つ
ありまして。

流産が分かる場面。
お腹に痛みを感じてうずくまるシーンがあります。

ここも完全にボケのリズムで入ってきます。

脈絡なく・・・というよりリズムですね。

「え!?いきなりどしたん?」

で入ってくるので、
お腹抱えて笑いました。

シリアスな雰囲気は前フリだったのかな?
そうに違いない。

特に「ビデオ通話のシーン」とか。
「えっ、そこでやる?!」と
感じることでしょう。

ここだけでも一見の価値あり!です。
なんなら、ここだけ見てください。

どこで差し込まれるのか、
探してみると楽しい映画鑑賞になります。

原作との違い2:恋空 語録

恋空の特徴のひとつに、
ポエミーなセリフ・ナレーションがあります。

原作から少し抜粋してみましょう。

俺もう、おまえの涙ふいてやることはできねぇ

出典:恋空~切ナイ恋物語~ スペシャル・バージョン(上)より引用

誰か。誰か。誰か助けて。
誰でもいい。言葉をください。勇気をください。
好きをいう想いを、この世から消してください。

出典:恋空~切ナイ恋物語~ スペシャル・バージョン(上)より引用

映画では、語録を全て詰め込めてはいません。
やはり映像だと違和感が出てしまうものもありますし。

ただし、代わりに独自の語録があります。

もし、原作にもあって見逃してたら
すみません。

例えば、こんな言葉。

「私は、今でも空に恋しています。」

出典:映画「恋空」より引用

「俺はさ、空になりてえな。
空になってずっと美嘉を見守るんだ。」

出典:映画「恋空」より引用

だからか!
だから恋空っていうんだ!!
うまいなぁ~。

原作との違い3:設定

やはり、2時間という映画の枠の中では、
どうしたって削らなければならない箇所も
あります。

細かい所をあげればきりがありません。

例えば、
原作ではPHS。
映画では携帯電話。

このあたりはケータイ小説ともかけてるんでしょうね。
大事なアイテムとして頻繁に出てきます。

飲酒のシーンが全面カット。

当時10代だった新垣さん&三浦さんの
イメージダウンにつながるからなのか、

はたまたレーティングの関係か。

キレイにごっそりありません。

2人以外が飲むシーンはあります。
「高校生でも酒を飲む」
そんなリアルが描かれていたシーンでしたから、
もったいないですね。

数多くある変革の中で
特に気に入ってるシーン。

それは、美嘉とヒロの出会い。

最初に直接対面するシーンです。
(廊下ですれ違うシーンではないですよ!)

映画では、
ヒロが花壇から掘り起こしてきた花を
「誕生日プレゼント」と言って
美嘉に渡します。

この時、花を後ろ手で
背中に隠して持ってくる。

観客にはヒロの背中が見えているので、
何を持っているかはわかる。

渡された美嘉は
「その花かわいそうだよ。」

と言って、その場を逃げ出します。

2007年で、
このベッタベタな演出と、
返しのセリフが「その花かわいそう」

もう、可笑しすぎて。
ここから一気に心を掴まれました。

ちなみに、原作では
かなり闇の深いシーンになってます。
そこは言及しません。

ちなみに、のちなみに。
直接対面までは、
謎の文通相手として絆を深めるシーンが
続くのですが、
原作・映画、両方とも
なかなかのサイコパ・・・個性的な
出会いなので、
気になるかたは
一度ご覧ください。

そのほか

映画ならではのシーンで好きなのは、
終盤のシーン。

美嘉が強く生きる決意をするシーンで、
美嘉のウエスト・ショットがあります。

その背後で電車が走っているのですが、
次のカットで電車内にいる美嘉へと変わります。

過去から現在へとオーバーラップしていく、
素直に上手い!と思えるつなぎ。

たぶん、狙ってやってるんだと思うけれど。
このつなぎ方は、どこかで使いたいですね。

おわりに

惜しかったと思える箇所も多々あります。

例えば、セックスシーン。

着衣のままで行われるんですが、
そんなわけねーだろ!とね。

あと、レイプされたにしては
小綺麗すぎるとか。

そういうディティールは、
もっと拘っても良かったんじゃないかなぁ。
悲惨さが薄れてるし。

まあ、ギャグ映画だからいっか!!

映画とは別の話ですが、
原作では、美嘉がかなりモテます。
モテモテです。

男どもにちやほやされまくり。

そして、傷ついていく男たち。
傷つけられた男たちがイケメンが多すぎて。

マジで「ヒロ」を選ぶ理由が
ミジンコほども感じられないのが謎。

それでいて、
「傷ついているのは私、美嘉です。」
というポエムがはさまる。

このミステリーだけ、解けないのよねぇ。。。

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