全編、定点カメラで撮影した
一風変わった映画の話。
さよなら、人類
データ
公開:2014年
製作国:スウェーデン、ノルウェー、フランス、ドイツ
受賞:第71回ベネチア国際映画祭 金獅子賞 受賞
あらすじ
面白グッズを売り歩くセールスマン、サムとヨナタン。
2人は行く先々で、さまざまな「人生」と出会う。
サムとヨナタンの目を通して映し出される、
悲喜こもごもの人間模様。
「人である」ことの本質を、時に哲学を交えながら、
ブラックでシュールなコメディで描き出す。
絵画からインスピレーションを
受けて作られたそうで、見てみると納得。
1カメ固定の長回しで、
しかも広角で撮られています。
その中で動くのが人間のみ。
途中にアップショットが入ることもない。
これだけだと、
サイレント映画時代のオールドスタイルな撮り方を
あえてやっただけなのか。
そう思っちゃいますが、
これが違うんですね。
構図に遠近法が使われているんです。
画面左上を最奥とした、まるで風景画のような、
そんな撮り方。
なので、映画を見てるというより、
絵画を鑑賞するような感覚に近い。
ただし、しゃべって動く絵画だ。
絵画は1枚で物語が完結しているので、
この映画も、1カット=1シーン。
と言ってもいい作りになっています。
それが、39シーン連なっている。
39枚の動く絵画・・・。
こんな発想、なかなかない。
というわけで、1シーンごとに、
解釈していかなくちゃならない、
一風変わった作品。
例えば、「さよなら、人類」のファーストカットは
博物館から始まるが、
初見では、なんのこっちゃ、てんで分からない。
しかし、絵画として考えると、
これは「○○展へようこそ!」を示したカットなんだな。
と思うわけです。
一応、展示会として考えると
全体通しての共通のテーマはあります。
それは「人間の脆さ」
誰だって面倒ごとに関わりたくないし、
近くで誰かの不幸が起きても見て見ぬふりできる。
誰かの不幸の上で生きている。
たくさんの辛いことはあるけれど、
「元気であれば良いのだ。」
そう言ってるような気がします。
まあ、この手の作品は解釈は
十人十色だと思うので、
自分なりの解釈を見つけることができれば、
面白い作品だと思います。
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