く、くやしい!
たかがカンニングにこんなに
ハラハラさせられるなんて! な映画の話。
バッド・ジーニアス 危険な天才たち
データ
日本公開:2018年
製作国:タイ
あらすじ
小学生の頃から成績はずっとオールA。
さらに中学生では主席。
そんな輝かしい頭脳を持つ女子高生リンは、
貧しい家庭でありながらも、
進学校に特待奨学生として転入を果たす。
高校では、初めての友達、
グレースへ勉強を教えるようになるが、
彼女は、勉強が大の苦手。
見かねたリンは、
テストの最中に「カンニング」で
彼女を救うのだった。
その噂を聞きつけた、
グレースの彼氏、パットは、
リンにあるビジネスを持ちかける。
それは、試験中に答えをリンが教える代わりに
報酬をもらう、カンニングビジネス。
学生たちのあいだで瞬く間に評判となった
ビジネスは、規模が膨らみ続け、
ついに世界各国で行われる大学統一入試「STIC」へと
手を出すことに。
カンニングは当然「いけないこと」ですが、
なぜか罪が軽い感じのイメージがあります。
私の知ってるカンニングを扱った映画も、
わりとコメディだった気が。
ですが、この映画は違います。
物語はサスペンスフルで展開し、
少年少女は人生を賭けて
カンニングに挑むんです。
背景にあるのは、タイの格差社会。
勉強ができれば良い暮らしができる!
そんな簡単なもんじゃない。
金持ちは、大衆から
効率よくお金を受け取るシステムを作っていて、
それは学校も例外ではありません。
進学校といえど、普通にワイロがやり取りされる。
自分よりも勉強のできない人が
なぜか通うことのできる進学校。
その裏にはなにがあったのか?
リンはその鬱憤を、
カンニングにぶつけていきます。
すなわち、お金もちのお嬢様、お坊ちゃまたちから、
金を巻き上げること!
学生の範囲でできる、ささやかな抵抗。
このカンニングをしなければならない説明が、
わずか15分で完了して、
パパっと本題にいくのはテンポよくて気持ちがいい。
全編通して撮り方がカッコいいのもそうだけど、
編集のリズムが良いんですよ。
セリフに頼りすぎていないから、
頭で理解する、かみ砕く時間が少なくて、
物語に集中できる。
映像で分からせてくるってのは、
なかなか難しいですから。
カンニングのやり方自体は、
消しゴムに答えを書くとか、
手垢のついた方法なんですけど、
見せ方が面白いんでね。
ものすごい大ごとに見えて、
めっちゃハラハラします。
オーシャンズ11よりも。だいぶ。
主人公たちの「バレないでくれ!」という
息遣いが見てるがわにも伝わってきます。
あと、印象的なのは「合わせ鏡」演出。
これが3回ほど出てきます。
リンの心情を表現しているんですが。
彼女の行いを見てもいるし、
見られてもいる。
映し方、撮り方も微妙に変わっているし、
カメラのピントがどこに合っているかで、
心情の移り変わりも分かるなぁ。と。
ここは面白かった。
そして、もうひとつ物語で目をひいたのは
「いろんな逆転」が入っていること。
ネタバレしそうなんで
あまり、深くは語りませんが、
・導入、中盤、最後に挟まる尋問の意味
・リンのライバルであるバンクとの関係
・父親とバンクの対比
・グレースとリンの関係
ネガティブなものがポジティブなものへと
意味が変わり、
その逆も同時進行で起きている。
そんな気がしました。
映画の結末を考えると、
登場人物全員、先行き不安という。
ハッピーのような、
アンハッピーのような・・・。
悪いことはするもんじゃないですね。
以上、
「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」でした。
蛇足。
統一入試は、日本以外でも
マークシート形式なんだなぁ。と、
「へぇ」と思いました。
今は、どうなんでしょうね。
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