“ハコイリ娘は辛いよ” 裸足の季節

映画

古い慣習に閉じ込められた
少女たちの逃亡劇。のお話。

裸足の季節

裸足の季節【動画配信】

データ

日本公開:2016年(日本)
製作国:フランス、トルコ、ドイツ

あらすじ

10年前に事故で両親を亡くし、
祖母の家で叔父たちと暮らしている5人姉妹。

学校生活を謳歌していた姉妹たちは、
ある日、古い慣習と思想のもと、
一切の外出を禁じられてしまう。

電話を隠され、家の扉には鍵がかけられた。

突然の理不尽な対応に、彼女たちは
自由を手に入れようと奮闘するが、
やがて祖母たちが決めた結婚相手に
ひとりずつ嫁がされていく。

女性とは、かくあるべき。
 
日本にもそういう意識は残っています。
意識するとも、せざるとも。
 
分かりやすいところでいくと、
「夫婦間で料理をするのは女性」であるとか
そういうことでしょうか。
 
ひとつの伝統としての美徳もあるいっぽうで、
10代の女性たちの目線からすると・・・。
 
 
という、そんな話。
 
 
導入部では、
自由奔放でキラキラした5人姉妹が
描かれます。
 
制服姿のまま、海で遊び、
服が透けるのもお構いなし!
 
 
男性の私からすると、
見てはいけないものを見てしまったような。
気恥ずかしい気持ちになる。
 
案外、そういうの気にするのは
男側だったりするからね。
 
 
監督も女性だそうで。
この辺のリアリティは、
さすがだな。と。
 
 
ただ、この海で遊ぶことが、
5人姉妹の祖母と叔父の逆鱗に
ふれてしまいます。
 
 
というのも、
男友達と一緒に遊んでいたからで。。。
 
「婚前の女性がはしたない!」
なるわけです。
 
 
そこで、5人姉妹を家に閉じ込めて、
一切の外出を禁止!
 
もちろん、学校にもいかせません。
 
 
辛く、苦しい、
ハコイリ生活が始まるのです。
 
その徹底ぶりはすさまじく、
家の前に5mはあろうかという、
柵を築きあげます。
 
 
さらに、
ご近所さんが変わる変わるやってきては、
強制的に行われる花嫁修業。
ここまでくると、
姉妹と祖母&叔父の関係は、
さながら囚人と看守。
 
 
最終的に彼女たちは
勝手に見合いさせられて、
嫁入りを強制されるわけです。
まだ10代にも関わらず!
 
この見合いのシーンが、
一種の競売のように見えて、
心底、胸糞悪い。
 
 
ただ、見合いのシーンひとつとっても
単なる男尊女卑とはいえない
闇深さを感じます。

 
祖母が姉妹に向かって
こういうわけです。
 
「私もね、あなたたちの歳には
結婚したのよ。」
 
的なことをね。
 
 
いじめ、パワハラを受けたものは、
相手への仕返しではなく、
自分より立場の弱いものに、
同じことをしてしまう心理。

そんなどうしようもない、
どす黒いものを感じました。
 
祖母たちは、かつての仕返しを
5人の姉妹たちに行っているのかもしれない。
 
 
ほかにも、
男性医師に姉妹の○○を確認させるなど、
「ちょっと、それどうなの?」
みたいなことが、矢継ぎ早に出てくるため、
まあ~、辛いっす。
 
 
物語が進めば進むほど、
心身が疲弊していく姉妹たち。
 
 
だからこそ、
劇中、幾度となく試みられる脱出に、
「頑張れ」と応援したくなる。
 
なおかつ、
最後の最後に待つ、
ほんのわずかな救い。
 
それが輝いて見えました。
 
 
結構、文化の違いについて
考えさせられる映画で、
ひょっとして自分も
そんなことしてないだろうか。
 
と、ハッとしちゃう、面白い作品です。
 
 

蛇足。
 
かなり変わった仕来りの描写がありまして。
 
男性側が求婚する際に、
父親が「息子に変わって求婚する」と
宣言するんです。
 
で、受ける側も、
花嫁の代わりに保護者が代弁するという。
 
現代日本人の感覚だと、かなり変です。
ただ、戦国時代の日本も
そんな感じだったと考えると、
伝統を現代にあてはめても
無理が出ると感じるシーンでした。

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